2012年1月11日水曜日

モチツクリキガク1

どうしてこんなに専門じゃない領域を扱おうとするのかね僕は.
しかし,まぁまだ,なんの専門家じゃないしね.
でもしかし,専門でない故に,大したことは書けない.でも書きたい.
いつか加筆修正することがあるのを願って.

さて,「なんちゃってロゲルギスト」の第二弾は,餅つき,である.
昨日大根おろしをテーマにしたし.

最近は,正月に飾る餅や,雑煮の餅といえば,どこかで購入するものなのだろうか.
うちでは,餅はつくものである.
杵と臼を使って.
そんなやり方を,誰が考えだしたのだろうか.
今回は,もちはどのようなプロセスを踏んで食用に供されるか,ということと,各段階においてどのような変化が起こっているのか,ということを考察していきたい.

1.もちが食べられるようになるまで
餅の定義を追っていたら,まぁ,wikipediaの詳しいこと….歴史まで書いてあるよ.びっくりだよ.wikipediaによれば,「(もち)とは、穀物、特に米に水分と熱を加えた後に、外力を加えて練り合わせ、成形した食品の一種。」だそうで,搗き餅(つきもち)と練り餅があるという.今回取り上げたいのは,つき餅である.
wikipediaには餅のつき方も載っていた.なんというサイト.面倒くさいので詳しいのでそれを使わせてもらおう.
  1. 餅つきをする前に、杵の頭が欠けたり木片が餅に入るのを防ぐために、水を張った桶(おけ)の中に杵の頭を漬けて水分を含ませておく。木臼の場合はよく洗い、臼に水を張って水分を含ませておく。乾いた状態のまま杵でつくと臼が割れる場合がある。
  2. もち米は水洗いし、6~8時間程度水に浸し、ザルに開けて水切りをする。
  3. 蒸し器の蒸篭に清潔なサラシやサラシより粗めの蒸し布を敷き、水切りしたもち米を開けて蒸し布でくるんだ後、蒸す。炊けた状態は、蟹(かに)の穴と呼ばれる孔が表面に見えるか、箸を挿してもち米が付着しなければ良いとされるが、米の芯が残っていない赤飯程度の固さに炊けていれば良い。
  4. 蒸し器がない場合は炊飯器のもち米の指標を選択すれば足りる。
  5. 炊けたもち米は蒸し布に包んだまま臼の中にあける。この時の米の状態は祝いごとの時に食べる赤飯と同じか、若干固い程度である。
  6. 臼にあけたもち米は、臼の外周に沿って杵の柄を腰に当てるか沿わせて体重をかけ、もち米を臼に圧し付ける。適宜、ヘラやしゃもじを用いて裏返し、満遍なく手早く粘りを出すようにする。
  7. もち米全体がヘラやしゃもじで持ち上げたときに一体になる程度に粘りが出始めたらつき始めの目安とする。最低限度の状態としては杵でついたときに蒸した米が飛散しない程度である。この時の表面は米の形が識別できるものと餅状になったものが混ざった状態である。
  8. 日常的に目にする餅つきのように杵でつき始めるが、粘りが増すごとに杵と餅がくっつくので手水(てみず)する。手水とはあらかじめ桶に水を入れておき、手を水で濡らし餅の表面に水分を与えることである。なお、蒸して数分しか経過していないため、表面は炊きたてのご飯と同じで相当に熱く、餅の表面を濡れた手のひらで叩く程度で良い。
  9. 手水が多いと、餅をついている最中は柔らかいが、後で延ばしたり成形するときに固くなりやすく、先々カビが生えやすくなる。
  10. つき終わった餅は餅取り粉をまぶした板の上に置き、好みの形状に成形する。
  11. 餅つきが終わった後の杵と臼はタワシ等で表面の餅を必ず取り去る。


何回も言うようだが,なんて詳しいんでしょう!
まぁ,こういう訳である.

つまり,もち米に水を含ませ,蒸し,適量水を含ませながら,粘り気を出させ,また粒体を粘性の高い流体にするということだろう.というより,数百のものをひとつにするのである.自己接着,とでも言うべき現象だろうか.昨日,接着の定義について触れたと思うが,それは,簡単にいえば,2つのものを1つとして扱えるということだった.アミロペクチンの凄さよ!

ところで,粒体とはなんだろうか.
粒体は,粒のあつまりである.粉と粒とをあわせて,粉粒体と言ったり,粉のあつまりのことを粉体と言ったりする.粒は,肉眼で識別できる大きさのものをいう.とある.まぁ,もち米の粒は「粒」くらいに細かいわけではけれども,細かいことを気にしてはいかん(うまいこと言ったつもり).米粒っていうしね.

さて続きはまたこんど.
(つづく)

ところで,江戸時代頃までは縦杵を使っていたというのに,なぜ横杵がつかわれるようになったのか,知りたいなぁ.
しかし,力学的に考えると,やはり横杵の方が効率がよさそうだ.それも次回以降.



参考(加筆されていきます)
濱田信夫(大阪市立環境科学研究所) - モチとカビの歴史
http://www.kjknpo.com/html_j/bukai/boukin/pdf/mochi-moldsub.pdf
wikipedia - 餅
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A4%85
wikipedia - 杵
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B5
東芝科学館 - 歴史 - 東芝一号機ものがたり - 日本初の家庭用餅つき機
http://kagakukan.toshiba.co.jp/manabu/history/1goki/1971ricecake/index_j.html

九州大学 理学研究院 物理学部門 統計物理学研究室
中西 秀先生 - ダイラタント流体、ダイラタンシー(読んでます)
http://www.stat.phys.kyushu-u.ac.jp/~nakanisi/Physics/Dilatancy/
EMANの物理学 - 「撃力近似」批判(未読)
http://homepage2.nifty.com/eman/dynamics/impact.html

中央大学理工学部物理学科田口善弘先生の運営するページ
Powder Page(未読)
http://www.granular.com/
石臼 & 粉体工学(一部未読)
http://bigai.world.coocan.jp/msand/powder/j_index.html

関係ないけれど検索の過程で出てきた興味深いもの:
「多孔質ファインセラミクス」の産業技術の系統化
http://sts.kahaku.go.jp/diversity/document/system/pdf/046.pdf


ここに問い合わせようかと思っている:全国餅工業協同組合
http://www.omochi100.jp/toiawase/index.html


ところで,前回書けなかったが,大根おろしと大根では味が違うのか,なぜ違うのか,成分は異なるか(え?)なども調べてみたいことではある.



2012年1月9日月曜日

ダイコントライボロジー

このblogを読んでくださっている方,ありがとうございます.
昨年より引き続き,月に1回以上くらいのペースで更新していきたいと思います.
本年もどうぞよろしくお願いします.


さて,年明け最初のタイトルは「すりおろしのトライボロジー」改め,「ダイコントライボロジー」です.

もちつきをね,正月になる前にしたんですが,その時に,大根おろしをつくりましてね….

はて,トライボロジーとはなんでしょうか.
トライボロジーの定義は,
Tribology is the science and technolgy of interacting surfaces in relative motion and of related subjects and practices.
となっており,訳すと,「相対運動の中で相互作用しあう(二)表面と,またそれに関連する問題と実際の,科学と技術」であるこれは,1966年イギリス教育科学省の委員会で制定されている.まぁ,広く言えば,「潤滑」とか,そういう話しである.

関わってくる分野としては,摩擦,摩耗,軸受,機械装置などが対象になり,機械工学,物理学,化学,材料科学などが含まれる.最近はやりの学際領域ってやつだ.

考えてみればいろいろなところに二表面が存在する.地震だってマクロに見れば二表面が相互作用しているのだろう.災害においては,地すべりや雪崩なども,もしかしたらそうかもしれない.流体も粘性をもち,表面と作用することから,これもトライボロジーで扱われているのだろう(きっと).原子力発電所で,配管が削れる事故とか,かつてあったかと思う.小学生の頃のニュースだったかしら.もっと身近には,ブレーキとか,靴底とか,タイヤとか,そういうところにもある.我々は,摩擦のある世界に生きているのだなぁ,と改めて思う.

ところで似た世界に,「接着」を扱う人々がいる.日本接着学会のページから引用する.
接着を「2つ以上の物体をある材料を用いて一体化し、外部からの刺激に対し一体として反応させるようにすること」と定義すれば、接着学はこの一体化の学理を究め、その反応を応用開発する学問体系といえる。
接着現象は被着体の固体表面の物性のみならず接着剤として用いる固体あるいは液体の物性にも密接に関係しており、これらは高分子化学、物理化学、界面化学の学問体系に関連づけられる。さらに接着を対象とする材料も、高分子はもとより金属、木材、セラミック、それらを複合した材料などきわめて多くの種類にわたっており、これらの材料の物性は材料工学の学問体系に関連づけられる。
一方、接着の応用技術を考えてみると、航空宇宙機器、自動車、橋梁、家屋、農業、医療、電気、電子機器、包装などほとんどあらゆる産業分野で接着が応用されている。
このように、たとえば接着に関連する学問体系を縦糸、応用技術を横糸とすると接着学は大きな織布を形成しており、これほど広範囲を包含する学問体系はほかに見あたらない。
ふむふむ.つまり,何らかの物質を用いて二つの物体を相対運動しないようにするということだ.相対運動が歩かないかによってトライボロジーと接着が変わってくる,ということ…なのかしらね.


それで,ダイコンについて気になったのは,このダイコンが削れる仕組みである.
それについてちょっと検索していたらこんなものが出てきてしまった…ちょっと読みたいw
http://157.1.40.181/naid/10024785542#ref

気を取り直して,荷重と接線力,それに対しての変形と,摩擦,摩耗を考えてやる必要がある.
摩耗に関しては,おそらくアブレシブ摩耗,というやつなのだろう.摩擦について考えるなら,間に流体みたいなものが発生するので,その潤滑効果も考えてあげる必要がある.

今回問題にしたいのはなぜ削れるか,なので摩耗である.
摩耗は,機械的な作用による材料表面からの物質の逐次減少と定義される.
そのうちアプレシブ摩耗は,「硬くて粗い面又は硬い粒子がやわらかい相手面を切削することにより生じる摩耗」であり,これ,摩耗させたいときに使うんだよね…?w
今回は,固定された切削材料が,ダイコンの断面を削っていく.これを二元摩耗という(粒子が表面の間に入ると三元摩耗になる).

一つの突起がダイコンを摩耗させると考え,突起を円錐だと仮定し,切削された表面とされる前との表面の高さの差を$d$ ,円錐角を$\theta$ ,高さ$d$ における円錐の半径を$r$ とすると,摩耗される体積は,単位(すべり)距離あたり,$$rd = r^2 \cot \theta$$となる.一つの突起が支える荷重は,(単位長さあたり荷重,あるいは最大接触圧力,あるいは)硬さ$p_0$ を用いて,$$\frac{\pi r^2 p_0}{2}$$
また,$n$ 個の突起がある場合,全突起が支える荷重$W$
$$W = \frac{n \pi r^2 p_0}{2} \rightarrow nr^2 = \frac{2W}{\pi p_0}$$
$n$ 個の突起による単位すべり距離当りの摩耗体積$Q$
$$Q = n r^2 \cot \theta = \frac{2W}{\pi p_0} \cot \theta$$
すべり距離$l$ の間の摩耗体積$V$
$$V = Q \cdot l = w' \frac{Wl}{p_0}$$
となっている.

さて,おろし金の突起はマクロに見れば,円状にならんだものになる.
摩耗面も,たしかに平行に筋が入る.
これに有効な突起の数はいくつだろう…

ちょっと時間がなくなってきたので割愛しようと思うが,どのくらい,どの方向に押せば最も削れるかが知りたかったのだ本当は…こんど実験すべきなのかもしれない.


最後はグダグダになった.
しかし,このblogでも$\LaTeX$が使えるようになった.やったね!(そこに大部分の時間を使ってしまった)



遅くなりましたが,新年明けましておめでとうございます.
今年も皆さんにとって幸多き年でありますように.

参考:http://www2.kaiyodai.ac.jp/~jibiki/ouriki/text/tribology_text.pdf
など