昨年より引き続き,月に1回以上くらいのペースで更新していきたいと思います.
本年もどうぞよろしくお願いします.
さて,年明け最初のタイトルは「すりおろしのトライボロジー」改め,「ダイコントライボロジー」です.
もちつきをね,正月になる前にしたんですが,その時に,大根おろしをつくりましてね….
はて,トライボロジーとはなんでしょうか.
トライボロジーの定義は,
Tribology is the science and technolgy of interacting surfaces in relative motion and of related subjects and practices.となっており,訳すと,「相対運動の中で相互作用しあう(二)表面と,またそれに関連する問題と実際の,科学と技術」であるこれは,1966年イギリス教育科学省の委員会で制定されている.まぁ,広く言えば,「潤滑」とか,そういう話しである.
関わってくる分野としては,摩擦,摩耗,軸受,機械装置などが対象になり,機械工学,物理学,化学,材料科学などが含まれる.最近はやりの学際領域ってやつだ.
考えてみればいろいろなところに二表面が存在する.地震だってマクロに見れば二表面が相互作用しているのだろう.災害においては,地すべりや雪崩なども,もしかしたらそうかもしれない.流体も粘性をもち,表面と作用することから,これもトライボロジーで扱われているのだろう(きっと).原子力発電所で,配管が削れる事故とか,かつてあったかと思う.小学生の頃のニュースだったかしら.もっと身近には,ブレーキとか,靴底とか,タイヤとか,そういうところにもある.我々は,摩擦のある世界に生きているのだなぁ,と改めて思う.
ところで似た世界に,「接着」を扱う人々がいる.日本接着学会のページから引用する.
接着を「2つ以上の物体をある材料を用いて一体化し、外部からの刺激に対し一体として反応させるようにすること」と定義すれば、接着学はこの一体化の学理を究め、その反応を応用開発する学問体系といえる。ふむふむ.つまり,何らかの物質を用いて二つの物体を相対運動しないようにするということだ.相対運動が歩かないかによってトライボロジーと接着が変わってくる,ということ…なのかしらね.
接着現象は被着体の固体表面の物性のみならず接着剤として用いる固体あるいは液体の物性にも密接に関係しており、これらは高分子化学、物理化学、界面化学の学問体系に関連づけられる。さらに接着を対象とする材料も、高分子はもとより金属、木材、セラミック、それらを複合した材料などきわめて多くの種類にわたっており、これらの材料の物性は材料工学の学問体系に関連づけられる。
一方、接着の応用技術を考えてみると、航空宇宙機器、自動車、橋梁、家屋、農業、医療、電気、電子機器、包装などほとんどあらゆる産業分野で接着が応用されている。
このように、たとえば接着に関連する学問体系を縦糸、応用技術を横糸とすると接着学は大きな織布を形成しており、これほど広範囲を包含する学問体系はほかに見あたらない。
それで,ダイコンについて気になったのは,このダイコンが削れる仕組みである.
それについてちょっと検索していたらこんなものが出てきてしまった…ちょっと読みたいw
http://157.1.40.181/naid/10024785542#ref
気を取り直して,荷重と接線力,それに対しての変形と,摩擦,摩耗を考えてやる必要がある.
摩耗に関しては,おそらくアブレシブ摩耗,というやつなのだろう.摩擦について考えるなら,間に流体みたいなものが発生するので,その潤滑効果も考えてあげる必要がある.
今回問題にしたいのはなぜ削れるか,なので摩耗である.
摩耗は,機械的な作用による材料表面からの物質の逐次減少と定義される.
そのうちアプレシブ摩耗は,「硬くて粗い面又は硬い粒子がやわらかい相手面を切削することにより生じる摩耗」であり,これ,摩耗させたいときに使うんだよね…?w
今回は,固定された切削材料が,ダイコンの断面を削っていく.これを二元摩耗という(粒子が表面の間に入ると三元摩耗になる).
一つの突起がダイコンを摩耗させると考え,突起を円錐だと仮定し,切削された表面とされる前との表面の高さの差を$d$ ,円錐角を$\theta$ ,高さ$d$ における円錐の半径を$r$ とすると,摩耗される体積は,単位(すべり)距離あたり,$$rd = r^2 \cot \theta$$となる.一つの突起が支える荷重は,(単位長さあたり荷重,あるいは最大接触圧力,あるいは)硬さ$p_0$ を用いて,$$\frac{\pi r^2 p_0}{2}$$
また,$n$ 個の突起がある場合,全突起が支える荷重$W$
$$W = \frac{n \pi r^2 p_0}{2} \rightarrow nr^2 = \frac{2W}{\pi p_0}$$
$n$ 個の突起による単位すべり距離当りの摩耗体積$Q$
$$Q = n r^2 \cot \theta = \frac{2W}{\pi p_0} \cot \theta$$
すべり距離$l$ の間の摩耗体積$V$
$$V = Q \cdot l = w' \frac{Wl}{p_0}$$
となっている.
さて,おろし金の突起はマクロに見れば,円状にならんだものになる.
摩耗面も,たしかに平行に筋が入る.
これに有効な突起の数はいくつだろう…
ちょっと時間がなくなってきたので割愛しようと思うが,どのくらい,どの方向に押せば最も削れるかが知りたかったのだ本当は…こんど実験すべきなのかもしれない.
最後はグダグダになった.
しかし,このblogでも$\LaTeX$が使えるようになった.やったね!(そこに大部分の時間を使ってしまった)
遅くなりましたが,新年明けましておめでとうございます.
今年も皆さんにとって幸多き年でありますように.
参考:http://www2.kaiyodai.ac.jp/~jibiki/ouriki/text/tribology_text.pdf
など
難しいですね。ところで日立金属さんの新型工具鋼S-MAGICってやつは自己潤滑性があるらしいですが、数式で表せませんでしょうかね?
返信削除僕は専門ではないのでわからないのですが、やはり個別材料については、それぞれデータをとってみるべきではないかと思います。
返信削除状況に応じて変わってくるでしょうし、メーカに問い合わせていただくのが良いと思います。
工学屋でないので、その材料も知らなかったですー申し訳ない。
それってグリーン スチールとか言われている機械材料ですよね~。いい仕事やってますね~。先端トライボロジー材料はこれで決まり。
返信削除ああそれねえ~。なんだか炭素結晶の競合モデルという新たな境界潤滑理論を島根大学の久保田教授らがやっている結構、先端的話題の話ですね。
返信削除現在の機械構造材料の最大のネックは摺動面。
返信削除いくら機械的特性(材料強度・硬さ)が高くても、材料というものは摩擦に弱い。
そのため潤滑油が存在する。しかしながら、それでも弱いので
コーティングをする。
しかし、日立金属が開発した自己潤滑性冷間ダイス鋼SLD-MAGIC(大臣発明賞受賞)は
コーティングレスで摩擦に強いことが特徴。そのメカニズムは
潤滑油と特殊鋼が相互作用を起こし、グラファイト層間化合物(GIC)
という高性能な潤滑物質を作るためであることが、日立金属技報
2017で公表された(CCSCモデル、炭素結晶の競合モデル)。
これにより機械部品の設計は小型化され、摩擦損失と軽量化の同時
解決が見込まれ、低フリクションによる自動車の燃費向上に大いに寄与することが期待
されている。
自動車技術会主催の2018年の内燃機関シンポジウムの論文読みました。
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