2014年11月6日木曜日

ビブリオバトルによせて

僕が紹介したいのは、『沈黙の艦隊』という漫画である。

かわぐちかいじ氏が、昭和63年から平成7年にかけての8年間で連載していた。


この漫画に出会ったのは、高校生の時で、当時かわぐち氏は『ジパング』という漫画を連載中だった。『ジパング』は海上自衛隊の高性能イージス艦が、太平洋戦争只中、ミッドウェーにタイムスリップしてしまう、というものがたりである。

高校生の時、ぼくは軍事につよく興味を持っていた。今は、「興味がないわけではない」くらいか。
なので、かわぐち氏の作品にも惹かれていき、昔の連載本を古本屋で見つけたのだ。


こうして僕は、『沈黙の艦隊』と出会った。


『沈黙の艦隊』は、海上自衛隊の潜水艦「やまなみ」がロシア原潜と衝突し、沈没。乗組員全76人の命は絶望的、というところからはじまる。ところが、この衝突の音をたまたま録音していたおなじく潜水艦「たつなみ」は、このことに不審を覚え、調査を開始する。
実は、この「事故」は、日米が共同で秘密裡に建造した原子力潜水艦「シーバット」に、「やまなみ」の乗員たちを乗せるというために偽装されたものだったのだ。

しかし、海江田四郎率いる「やまなみ」乗員は、日米に叛乱し、独立戦闘国家「やまと」を宣言する。
この原潜には、核弾頭が搭載されていないという保証はなかった。
この潜水艦をめぐって、日米関係は荒れ、国内世論も、政界も再編され、北極海の冷戦は終結し………と世の中は激動の時代を走ることになる。

これは、「世界のあるべき姿」を考える本である。
軍事のあるべき姿もそうだし、国家と国家の関係はどうあるべきなのか。戦争は必要悪か? 軍需産業と政治の関わりは? などなど……
世界は人が動かしているということも実感できる。
大変アツい本なのである。


僕が好きなのは、竹上総理の成長、そして日本での「やまと」をめぐる選挙。
ほかは、「地球」を描きとるシーンとか、わからないだろうけれど……読んでください。
キャラクターとしては、大滝幹事長が好きかな。この人を参考に生きたいという感じ、ちょっとはある。


ちなみに女性は一人しか登場しない。それも最終巻まで登場しない。
まぁ、「かわぐちかいじの漫画って女性が登場しない」ってのは有名なんだけれどね。


おわり。

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