午前5時45分、北緯30.3度、東経25.0度で大気圏に再突入し燃え尽きた。
日本の科学は、非軍事利用による技術発展をしている。
他国の人工衛星が弾道ミサイル技術の副産物として衛星技術を磨いたのに対し、日本のロケット・衛星の技術は、たかが一大学の機関が得てしまった。
この「おおすみ」投入ですごいことは、放物線をロケットが描く、それだけを利用して軌道投入を成功させている点だ。このあとも、宇宙研は世界屈指の軌道制御技術を身につけていくことになる。
本書は、「はやぶさ」の開発に至る、「宇宙研」、宇宙研を作った「糸川英夫」について、その生い立ちから追っている。
宇宙研という機関への糸川の思いや、組織の設計、いかにして宇宙研が素晴らしい機関になったのか、ということが書かれている。
また、この本は、吉田武らしく、原理からの説明があり、少しでも(理論)科学の世界を見せようという、吉田の意気が見て取れるのではないか。(あいまい)
とまれ、はやぶさのもつ、「中華鍋」は、帰還した。
ここで、本書に出てきた、川口プロマネが作ったという採点簿を見てみよう。
電気推進エンジンの稼働開始(3台同時は世界初):50点
電気推進エンジンの1000時間稼働:100点
地球スウィングバイ(電気推進によるものは世界初):150点
自律航法に成功して「イトカワ」とのランデブー:200点
「イトカワ」の科学観測:250点
「イトカワ」にタッチダウンしてサンプルを採取:300点
カプセルが地球に帰還、大気圏に再突入して回収:400点
「イトカワ」のサンプル入手:500点
である。
おわかりだろうか。
本書によれば、川口プロマネは、この加点式採点簿を「100点満点」としたそうだ。
はやぶさは、それを500%も超えてしまった。
「おおすみ」の運用は、15時間ほどであった。
その運用から33年後、7年にもわたる深宇宙探査が実現するとは、糸川は想像していただろうか。
想像していたかも知れない、とは思う。
僕は、吉田の言う「モグラ」をやる一人で、iGEMというものに関わっている。
この本を読んで、どのように組織を作っていくべきか、またちょっとずつ見えてきた気がする。
もうひとつ。
人間があることを為すには、やはり情熱が必要で、情熱に人は打たれて、成長し、また、人を感動させる、ということに気づいた。
いまさらだが。
最近、自分の中で、情熱を感じない。
いかにして再び取り戻すか。
挑戦である。
ロケットの打ち上げ、一回は見に行きたいなぁ。
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